仁王くんが咥えているチュッパチャップスが羨ましくて、じぃーっと無言の視線を送っていたら、その仁王くんと目がバチリと合った。からり、仁王くんの口の中にあるソーダ味らしき白い飴玉が、カラリと音をたてて左頬から右頬に移る。仁王くんもじぃーっと無言であたしを見てきた。無言の見詰め合い。なんだかそれがすんごく恥ずかしくなって、あたしは先に視線をチュッパチャップスと仁王くんから離した。 「ちゃん」 「な、なんですか」 「飴、欲しいんじゃろ?」 「う、」 声をかけてきた仁王くんの方をチラリと見てみれば、にやりと片方の口角を上げて笑っていた。カラ、また飴玉が移動する。あたしは仁王くんの質問に肯定も否定も出来ずに黙っていたら、仁王くんが「飴、やるぜよ」って言ってきた。あたしはそっと顔を上げて、「あ、ありがとうございます」と手を出した。の、だけれど。仁王くんはさっきまで舐めていたそれを、そっとあたしの口に放り込んでどこかに行ってしまった。 拍手ありがとうございました。ハッピーバレンタイン!! :) |