夢を、見た。
灰色の世界で、悲しそうに辛そうに顔を歪めて泣き叫んでる独りの女の子。溢れた出した涙は女の子の瞼を赤くあかく腫らし、そして頬を濡らし零れ落ちていく。





「ねえ、どうしたの?」
僕は女の子の真っ正面に立って、その姿を見下ろしてる。2人の距離は、3メートルぐらいだろう。でも、その3メートルはとてもとても長く遠く感じた。


「ねえ、大丈夫?」
女の子は僕の声に気付かない。だから、一歩、女の子に近づいてみる。少し、距離が縮まる。


「ねえ、何で泣いてるの?」
やっぱり僕の声は届かない。僕はまた一歩、女の子に近づいた。また、距離が縮まる。


「ねえ・・・、」
女の子の真ん前にくると、屈んで顔を覗き込んだ。








・・・?」
目が覚めて、ぽつりと言葉か漏れた。喉はカラカラに渇いて、ドキドキと煩いぐらいの心音に、体に流れる嫌な汗。確信なんてそんな大層なものはどこにもない。ただ、似てたんだ。夢の中の女の子の姿があまりにもに似てた。ただ、それだけのこと。なのに・・・、


僕は適当に手探りで携帯を掴んで開いて、数回のキータッチの後発信ボタンを押した。無機質なコール音、それは鳴り続けるだけで変化はない。そのことに僕は嫌な焦燥を感じる。ぷちり、コール音を無造作に切って僕は急いで家を出た。








いやなゆめ


走っていくから、すぐ行くから、勘違いでいいから、 (だから、独りで泣くなんてしないで・・・!)