ミッション:子供服の購入


「先生、ちゃんの服買ってきてください」
「なんで俺が・・・美奈が行けばいいだ」
「先生?」
「わかった!行けばいいんだろ行けば!」


半ば半泣き・・・じゃなくて、やけくそになりながら俺はなつを担いでその場から逃げた。は「みなー、ばいばい!」と美奈に手を振っていた。最近、はちょっとずつだが、言葉を覚えてきた。会話もある程度はできるようになった。そして美奈のことを「みなー」俺のことを「みやー」と呼ぶようになった。


「みやー、おでかけ?」
「そうだ。今からの服を買いに行く」
、の、ふく?」
「ああ」


自分の愛車を飛ばしながら、かなり遠いところに存在するショッピングモールに向かった。この羽生蛇村は、こういうときは実に不便だ。そのことにめんどくささをかなり感じつつ、チラリと助手席に座るを見た。その目はじっと窓の外を眺めていた。


、いくぞ」
「あいー!」


と、モールについて元気よく車を下りたはいいが、子供服の店について、事件は起きた。俺は女の服になんて興味はないわけで・・・。いや、こういうと語弊があるかもしれないが、好みはある。しかし、好みがあるからと言って、センスがあるわけではない。しかも子供服・・・。これは、どういう拷問だ。まあ、嘆いていても服は決まらないから、俺の好みで簡単に服を選んでみた。


、これ、着てくれ」
「うー?」
「服、着れるだろ?」
「あーい」
「・・・・・・・・・」


サイズ確認のために服を着てもらおうと思って、一緒に試着室に入ったはいいが、そこでまた事件は起きた。に服を着ろと指示したら、はそれはそれは元気よく両手を上げた。つまり、あれか、これは俺に着せろということか。俺が着せなきゃ着れないということか。俺は冷や汗が背中に流れるのを感じながら、が今着ているワンピースを脱がし始めた。勘違いしないでほしいが、別に俺はいかがわしい事は一切考えていない。


、いくぞ」
「あーい」
「足、上げろ。次、こっちも」
「あい」


選んだ服を着せてみて、サイズを確かめる。子供の成長を舐めてはいけないということで、サイズは少し大きめだ。は新しい服をみて、きゃっきゃっと喜んだ。試着を終わらせてもとの服を着せてから、さっさと試着室からでた。服を買うついで、ということで靴と小物も買ってやった。一応言っておくが、決して買い物が楽しくなったわけじゃない。楽しくなったわけじゃないからな!






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