仁王の彼女になってから、が日に日にぼろぼろになっていく気がする。それは、見た目にはっきりと分かるもんじゃなくて、なんだろ、こう、雰囲気みたいなもの?が少しずつぼろぼろになってる。


「なあ、おまえ最近どした?」
「んあー、ブンちゃんどした?」
「いや、俺が質問してんだけど」



からからから、とは俺の反応に笑って、持っていたメロンパンを一口かじった。そのひと口はすごくすごく小さいものだった。その原因は、の口元にこっそり存在している赤黒いかさぶた、だと思う。けど、その他にも、何か引っかかる。


「なんでもないない」
「ホントかよぃ?」
「うん、ホントだよぃ」



からからから、または笑って、メロンパンを小さなひと口でかじった。もぐもぐもぐ、ごっくん。細くて白いのどか上下した。その白さは病的だ。口の中のものをごっくんしてから、が聞き逃しそうな低い声で、呟いた。


「・・・まあ、強いていえば、天罰かな」
「・・・・・・え?」
「んー?へへへー・・・。」



ゆっくりと一度目を閉じて、開いて。からからから、とお得意の笑顔でがまたメロンパンをかじった。そしたら机の上にぽいっと置いてあったの携帯のランプが、ぴかぴかと赤く光った。


「あー・・・、いかなきゃ」
「仁王ん、とこ?」
「・・・さあ?」



ははは、が口元を歪めて嗤った。そして食べかけだったメロンパンをゴミ箱に綺麗にシュートして、からから笑いながら席を立った。


「ちょ、・・・!!」
「じゃーね、ブンちゃん」



のどと一緒で白い手をひらひらしながら、が教室の出口に向かう。そのときに、さっきよりも低いひくい声で嗤い混じりの言葉がぽとりと、のほうから落っこちてきた。


「赤は、危険信号」



が握りしめていた携帯のランプは、赤く、光っていた。