りんりんと虫の声に満ちた夜に、別に誰に怒られるわけじゃないけどこっそりと2人で散歩に出掛けた。外は真っ暗で、静かで、意外と涼しくて、そんな中で星たちがそっと俺たちを見下ろしながら謳っていた。


「あれとあれを繋いで、はくちょう座」
「あの明るい星は?」
「わし座の中心のアルタイル」
「じゃああれは?」
「アンタレス」



君は小さなこどものようにはしゃぎながら、あれは?あれは?ときらきらと闇の中で主張する星たちを指す。その姿が可愛くて、こっそりと頬が緩んだ。


、楽しい?」
「うん、すっごいたのしい」
「それはよかった」



俺の隣で笑う君の頭をくしゃりと撫でてやれば、君はすこしはにかんで、ふにゃりと笑った。そんな愛しい君を捕まえるように、そっと君の小さな右手を握った。


、」
「ん?え、ちょ、かぜまる!?」



君の瞳の中に映る光たちがきれいで、うっかり食べようとしたらその光たちはきゅっと瞼の下に消えてしまった。だから、俺は下りた瞼にそっとキスを落とした。


「な、な、な!」
「はは、落ち着けって」
「だって、いきなり!」



暗闇の中でもわかるぐらいほっぺを赤く染めた君が、あわあわ焦ってぐるぐる混乱してる。そんな姿にくすくす笑ってたら、笑うなー!って思いっきり飛び込む勢いで抱きついてきた。


「わっ、」
「風丸のいじわるー!」
「はは、の所為だよ」



ぐりぐりーと頭を擦りつけてくる君の姿に、またこっそりくすくすと笑ってその小さな身体をふわりと抱きしめた。その暖かさに柔らかさに愛しさに、心臓がきゅんとしたのを俺は感じた。