ふと、机の上にちょこんと置かれたの携帯が目にとまった。 の携帯は女の子っぽいストラップがついていて、本体にはプリクラが何枚かぺたぺたと貼られている。(俺、とプリクラとらんなあー)なんて思いながら、そっとの携帯のプリクラを興味本位で見てみた、ら。


「な、なんやねんこれっ!」
「えー?なにが?」



俺は、思わず声を荒げるくらいに驚いた。だって、何枚かのプリクラの中の1枚に、が白石と財前の3人で仲良さげに写っていたのが存在した。俺は興奮してじわりと熱くなる目頭を隠すように、に背を向けて俯いた。(なんで、なんで白石と財前やねん!1番危険な奴らやんけ!しかもこいつら何気に近こう寄り過ぎやねん!もっと離れろ!)


「え、え?け、けんや、どないしたん?」
「・・・なん、このプリクラ」
「え?プリ?・・・・・てか謙也、泣いとん?」
「泣いてへんわっ!」
「なら、ちゃんとこっち向いて?」



俺はプリクラの話そっちのけなの態度に腹が立って、イライラオーラを撒き散らしながら、キッと睨むようにの方に振り向いた。は少し驚いた顔をして、すぐに困った顔になった。すこし、その表情に心臓がチクリとなった。


「やっぱ泣いてるやん。よしよし。ごめんね?」


俺の金色の髪をが優しく撫でて、目尻に溜まった涙を拭いてくれた。それが子供扱いされてるみたいで恥ずかしくて、俺は唇をぎゅと結んだ。(俺は、こんなことで機嫌が治るほど甘あないねん!)


「謙也泣かんで。プリのこと、ごめんね。」
「・・・・・・・・・、」
「謙也、無視せんで?」
「・・・なんで財前や白石とは撮ったん?」
「白石が撮ろうゆうたから撮ったんやけど、謙也はいややった?」



こてん、と首を傾けて眉を八の字にして、が俺の顔をのぞき込んでくる。その仕草が可愛くて愛おしくて、俺は視線をさっと逸らした。じゃないと全部許してしまいそうだった、から。(なんやねん、なんやねん、なんやねん!そんなん、卑怯やろ・・・)


「そんな、こと、は、ない。けど・・・」
「うん。けど?」
「お、俺のも貼ってえや」
「うん。なら、今度2人で撮りにいこ。ね?」
「・・・・おん。」
「謙也、ヤキモチ焼いてくれてありがとう。」



困った顔から、はにかむように笑ったが、ちゅってかわいい音をたてて俺のほっぺへ不意打ちにちゅーした。俺はそんながやっぱり可愛くて愛おしくてたまらなくってさっきまでのイライラなんてどうでもよくて、ぎゅーって苦しくない程度に抱きしめて仕返しにおでこにちゅーしてやった。それから2人で何回か軽いちゅーして、コツンとおでこをくっつけてどちらともなく笑い出した。(あー、やっぱり俺甘くてもええわ!だってが好きやねんもん!)

数日後のお話し。


「謙也、笑顔めっちゃかったいなあー」
「う、うっさいわ!ぷ、プリクラって緊張すんねん!」
「そんなの慣れだよ慣れー!」
「慣れって・・・今度白石とかと撮り行こ・・・」
「え?何て?」
「な、な、なんでもないわ!」
「あ、このプリ携帯に貼っとこーっと」
「んー?・・・って、ちょお、それ俺ブレとるやんけ!」












アンケートからの作品!(謙也くんが1人で慌てたりやきもきする話)