「やめよう、風丸。もう、やめようよ」
?」
「かぜまる、おねがいだから」



ぎゅうと力いっぱいにが俺の服を掴む。その表情は今にも泣きそうで、歪んでいる。 俺はの表情と言動を不思議に思った。は、何を言っているんだ?やめよう?こんなにすごい力が、手に入ったのに?理解が出来ない。俺はこんなにも強くなったのに?


、よく分からない」
「ねえ、変だよ。こんなの、間違ってる」
「なにが間違ってるんだよ?」
「こんなことしたって、風丸は強くなってない」



意味がわからない。意味がわからない。意味がわからない。は何を言っているんだ?強くなってない?今の俺は、こんなにも強いのに?ああ、そうか。わかったぞ。は俺たちと一緒にフィールドで戦ったことがないからだ。だからそんな事いえるんだ。


「ならも俺たちと一緒に戦おう。この力で。」
「・・・・かぜ、まる」
「そうすれば、も俺たちの力の強さがわかる」
「・・・かぜまる!そうじゃない、そうじゃ・・・」



ない、と小さく掠れる声が、涙声に変わっていく。ぼろぼろぼろ、の目から透明な涙がこぼれて落ちた。なんで、泣く?は何がそんなに嫌なんだ?わからないわからないわからない。なんでなんでなんで、なんで、前にみたいに笑わない?いつもなら、「すごいね!強くなったね!」って、嬉しそうに笑ってくれたのに。なんで?


「ちがうん、だよ。こんなの、ちがうん、だ、よ!」
「わからない。なにが、違うんだよ?」
「かぜまるっ!」



涙で潤ったの目が、キッと俺を睨んで、すぐに困惑したような目になって俯いた。 ぼろぼろぼろ、涙は止まらない。俺はなにが違うのか、まったく見当も付かなくて、早くに泣きやんでほしくて、その小さな身体から吐き出される嗚咽ごといつもみたいに抱きしめた。