そういう顔、やめてよ。見せ付けてるの? あ、わかった。これ、嫌がらせでしょ? そんなに僕のこと、嫌いなの? ううん、違う。は何も悪くない。 これは、ただの現実逃避なんだ。 君と君の好きな人を悪者に仕立てて、僕は自分を低い位置につける。 そうやって僕は悲劇のヒロインのようなポジションにつく。 だってそうすれば僕は皆から哀れの目を向けられ、守られる。 そして君達は僕を傷付けた悪者として、敵視される。 ああ、何て僕はずるくて汚いんだろう。最悪だ。


でも、でもね、本当に僕はが好きなんだよ? きっと君の好きな人より、ずっとずーっと好き。 なのに、なんで君はこっちを見てくれないの? 僕はこんなにも君のことがすきなのに、なんで君はそのことにちっとも気付いてくれないの? 僕の視線がいつも君に向けられているの、君は気付いている? ああ、わかった。そうか、君の好きな人が何かいっているんでしょう? きつい束縛をしているんでしょう?それとも脅されているの? ああ、僕が助けなきゃ。きっとすっごく困っているんだよね? 今も無理して笑っているんでしょう?彼に怯えて、こっそり泣いているんでしょう?


違う違う違う、もあの人もそんな人間じゃない。 僕はまたいいように、でも、もし、もしかしたら。 ちがう、いや、でも、でも、もしかしたら、もしか、したら。 ちがう、わかってる、でも、僕は、ぼく、は・・・が、すきなんだ。





「壊れちゃえば、いいのに」
気がついたら僕は、苦しげにそう呟いてた。