声を上げて泣いた。 わんわんわん、そんな音じゃないけど、泣いた。 涙が溢れてあふれて、零れて、落ちた。 別に構ってちゃんなわけじゃない。 ついでに言えば泣いてる理由もわからない。 ただ、気がつけば目の前がぐちゃりと滲んでたことはわかった。 声が風に乗って飛んでゆく。 ぺたりと座り込んだせいで足が冷たい。 でも動きたくない。涙も止まらない。 喉がからからで、心がぐちゃぐちゃ。 前は涙で歪んで見えない。 辛いわけじゃない。悲しいわけじゃない。 だけど、涙は溢れて、声は零れた。 「?なんで泣いてんの?」 よく知った声が耳に響いて、振り返った。 そこには不思議そうな目をした久々知がいた。 何か言わなきゃ、口を開いたけど言葉が思い浮かばなくてまた閉じた。 よいしょ、久々知は私とおんなじように床に座り込んで、目線を合わせる。 ごしごしとめを擦りながらぐずぐずと鼻を啜る私を見て、久々知はふにゃりと緩く笑った。 ついでによしよしと子供をあやすみたいに柔らかく頭を撫でてくれた。 「たくさん泣いていいよ。」 「・・っ、」 「ね?」 「・・・・うん、」 意味もなく理由もわからず、私はまた声を上げて泣いた。 でも、少しだけさっきより胸が暖かくなった。 たったそれだけ |