「おはようございます」 そういって、僕の目の前にいるは恭しく頭を下げた。 まるで何かの儀式みたいなその動きは、少しだけ可笑しな気分になった。 でも次の瞬間には、ふわり、と緩やかに動く髪に目が奪われていた。 「アフロディー・・・様?」 ゆっくりと顔を上げたが、不思議そうな目で僕を見る。 きょとんとしたの透き通った瞳に、また目を奪われそうになる。 それを逃れるために、すっと目蓋を下ろしてゆっくりと瞬きをした。 「なんでも、ないよ」 危ないあぶない、そう心の中で思いながらまたに視線を向けた。 はまだ不思議そうな顔をしていたけど、僕と目が合うと 「ならいいんです」と柔らかな太陽のように僕に微笑んだ。 そして、「これを」と手に持っていた鮮やかな一輪の花を差し出した。 その花はとてもキレイで鮮やかで美しくて、まるで宝石のようだった。 「え・・・?」いきなりそんなものを差し出されて、 どうしていいかわからなくて、僕はただその花とを交互に見やった。 するとなつは「アフロディー様に差し上げます」とにこりとまた笑った。 僕は完全に不意打ちを食らって、変に狼狽しながら、少しぎこちなくその花を受け取った。 そのときに少しだけ手が触れて、 どきり、と僕の心臓が変に高鳴った。 この胸が、焦がれるほどに |